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奥武蔵の風に吹かれて NO.027 月光色 2001.10.3




「日和田山金比羅神社鳥居と満月」

まるで鬼が大口を開けて笑っているようにも見える。
月光色などと書きながら、残念にもストロボを使用。
私のコンパクトデジカメでは、露出コントロールは無理なため、月光だけでは何も写りませんでした。トホホです。


 中秋の名月から一日遅れの昨夜、10月2日午後10時46分、満月。

 月光に導かれ、カミさんとともに日和田山に登る。てらてらとやけにさっぱりした明かりは、夜の登山道を怪しく浮かび上がらせ、いやが上にもスリリングさを増す。歩き慣れた道はライト無しでも容易に登れる。むしろ、そのほうが周囲の状況がよく見渡せ、安心できる。

 今夜はカミさんがテーマにしている「日和田山」の撮影につきあっての深夜月光詣で。いわばサポートとして同行したが、結局、放ったらかして一人自分の世界に入り、うろついてしまった。

 普段日光下で見慣れた光景も、月光のもとではまるで違ったものに見える。草も、木も、土も、岩も、水も、そして空、雲さえも、全てが青白い同色の中に取り込まれてゆく。もちろん、人も・・・

 二の鳥居・金比羅神社前からは南から西の方角が良く見渡せる。大気の揺らぎはあるものの、今夜は都心方向がとてもクリアー。そこから西へ目を向けると奥多摩・大岳山の左側に富士山が薄ぼんやりと見える。春から夏にかけては、空気の状態が悪く、奥武蔵から富士を望む機会は希だけれど、これからの季節、西高東低の冬型気圧配置のお陰で、関東は晴天率が高く、毎日のように富士を望むことができる。金沢育ちのカミさんにすれば、それは驚愕に値するらしい。富士は日本人にとって欠くことのできない心の光。

 よく見ると、月光下、シルエットとなった富士山の中腹に1点の明かりが見える。昼間は肉眼では確認できないが、何と、富士スバルライン五合目の光が見えている。光の摩訶不思議なところだろうか。都庁の光が見えても何の感慨も無いが、さすがにこの光景には何をか思わずにはいられない。

 辺りは唸りをあげて風が吹いている。紛れもなく山の風。風とともに木々が揺れる。あたかも揺れることを楽しんでいるかのように。

月光下。日和田は深く、大きく二人にに迫って来る。 


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