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高倉獅子舞《竿がかり》
埼玉県鶴ヶ島市 高倉日枝神社 2003年11月3日撮影

竜頭獅子 右から前獅子(朱塗り・捻り角、鳥羽)、中獅子(朱塗り・黒線の入った丸い角・羽毛)、後獅子(黒塗り・捻り角・鳥羽)。
いずれも後頭部に紙の垂(シデ)、あごの下に水引を下げる。
中獅子(雌獅子)の眉と頭には茶色の柔らかい毛が埋め込まれている。
雄獅子は鼻の周りとともにあごの下のひげも目立つ。
竜は水神である。山麓農民にとって田畑の水の有無は死活問題。
雨乞いにも使われたであろう獅子は水への渇望と畏敬を込めて竜頭になるのだろう。

竿がかりの入場場面。
三頭が腰を深くかがめ、四股を踏むように大きく左右に足を上げながら、舞い踊り、拝殿前に突入してくる。
高倉の特徴的なシーン。セビコミとか呼んでいた。竜が這い進んでくる様子だという。
獅子の前を行くのがはいおい(弊負)で、獅子の導きとカツ入れをする。
陣羽織にたっつけ、赤たすき、鉢巻き。右手に軍配、左手に采配を持つ。

トーヒャヒャローの笛歌から始まる竿がかりのこれは核心部。
先に川(竿)を越えた後獅子を追って漸く越えることができた前獅子が歓喜しているように見える。
また、写真には無いが、二頭が竿を隔てて激しく喧嘩する場面(ダダをこねたような仕草)は面白い。
獅子の左右にいるのはヤエンボウ(野猿坊)。
最初に雌獅子がくしを舞った少年たちが、いわゆる猿まねをしながら、獅子の周りをうろつく。道化のような役割もあるのだろう。

竿が上がった後の一舞。再び三頭が一緒になって寄り添ったり離れたり、喜び勇んで舞っている様子。
手前にいるのは後獅子。太鼓の前に幣束をくくりつけているのが見える。
太鼓はくり抜き太鼓のようだ。バチは中細。先の丸みが顕著だ。
衣装は薄手の着物にたっつけ姿。わらじのひもは長く、ふくらはぎに巻き付けているのが特徴的。
拝殿前、画面左側奥には天狗と万灯が見える。
この舞いが舞い納めとも言える見応えのある場面。
この時の笛の音は緩やかな山麓系から突然秩父山岳系のテンポの速いものへと変わる。
このあと舞いの場面は池端(感謝の舞いか)、岡崎へと続き、拝殿前から再び集会場へと引き上げて行く。


***高倉獅子舞***

鶴ヶ島市指定無形文化財

□獅子舞の構成□

万灯・貝吹き(法螺貝)・天狗・花笠・はいおい(弊負)
前獅子(男獅子)・中獅子(女獅子)・後獅子(男獅子)・笛吹・歌うたいなど。
時にはひょっとこ・おかめの道化(ヤエンボウ)も加わる。

□曲目□

宮参り・池端・岡崎・送笛・吹上げ・聖天はやし・めじしがくし・どじょう猫・竿がかり・吹上げくずしなど。

□期日・場所□

11月2日 午後1時・高倉日枝神社〜稲荷神社〜幸福寺
11月3日(文化の日) 午後1時・高倉日枝神社

詳細は鶴ヶ島市教育委員会まで 電話 0492-71-1111

写真は4点とも新達也によるものです。
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※獅子舞の解釈は個人的なものであり、高麗神社の舞いと照らし合わせながら、想像したもので、
間違っている場面もあるかも知れません。その点をご了承ください。




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高麗神社の獅子舞

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