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奥武蔵の風に吹かれて NO.014 桃源郷 2001.4.29


 荒川源流の清浄な世界からうって変わって、東京、麹町まで出かけた。自宅ドアからだと、荒川源流へも麹町へもおよそ2時間あまり。ほぼ同程度の時間で行くことができるのが面白い。奥武蔵とはそういう場所。世界的規模の大都会に面し、ちょっと足を伸ばすことで、一級の自然界も堪能できる。

 奥武蔵そものもは、日本中何処にでもありそうな田舎の風情だけれど、周囲の環境と照らし合わせた場合、奥多摩とともに、日本列島の中でも希有な存在であることに気が付く。とりわけ、寄居、小川町辺りから、八王子方面へと延びる秩父古成層との狭間、簡単に言えばJR八高線の西側の環境は特に貴重なのもだろう。都民にとってのそれはまさにオアシスとなるものであり、また、そこで暮らす住人側からすれば、自然と人工と、どちらもいいとこ取りができる、有り難い地域といえる。

 件の麹町。既に若葉が開ききったケヤキやイチョウの大樹が風にそよぎ、ゆったりした空間のなかで時が流れていた。東京もさまざま。開発者の思想、生い立ち、歴史的背景などでいかようにもなる。いずれにしても、木々がのびのびしている姿は、見ていて気持ちがいいだけではなく、人々の心を知らず知らずに豊にしてくれるものであり、結果、精神的なゆとりも芽生えてくるというものだろう。犯罪も減るかも知れない。いや、木が陰になって逆に増えるなどと言う者もあるだろうが、それこそ、本末転倒、木の恩恵を受けていない者の発想ではないだろうか。

 話があちこち飛びすぎた。この辺で切り上げるとしよう。


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